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量子コンピューター

【量子コンピューター】

もうすでに量子コンピューターは実用の段階に入っている。

以下、少々長くなるが量子コンピューターはの説明。

量子コンピューターは、見た目は、縦、横、高さが3メートルほどの黒い箱。
実はこの黒い箱は、内部を摂氏マイナス273度の絶対零度に保つ冷凍庫。
内部はほとんどが空洞で、通常のコンピューターにあるようなCPU=
中央演算処理装置やメモリーなどの記憶装置はない。

箱の中央にあるのは、縦横1センチ四方のチップに特殊な金属のリングを
焼き付けた「量子ビット」と呼ばれる部品。量子コンピューターの心臓部だ。
この「量子ビット」を絶対零度にまで冷やし、内部に電気的な抵抗がない状態、
超電導状態にすることで、従来のコンピューターでは達成できなかった
超高速の計算を実現する。

まず、量子コンピューター、いったいどのような原理で動いているのか。
一般のコンピューターは、情報を「0」か「1」かの二進法で表す。
半導体にかかる電圧が低い状態を「0」。高い状態を「1」とし、
これを「1ビット」という情報の基本単位にしている。

一方、量子コンピューターの情報の単位は、「1量子ビット」。
これは、電子や光子といった極めて小さい世界、つまり量子力学の世界に
特有の「重ね合わせ状態」を応用したもので、この世界では、
「0」であると同時に「1」という不思議な現象が生じている。

これはいったいどういう現象なのか、量子コンピューターの心臓部には金属の
リングがあり、従来のコンピューターにならって、リングの中を移動する
電子を左回りなら「0」、右回りなら「1」とすると、超電導状態となった
金属のリングでは、電子は、左回りであると同時に右回りという
「0」と「1」が同時に存在するような状況が生まれる。

この「0」でもあり「1」でもあるという現象が、超高速の計算速度の
鍵となる。

通常のコンピューターで例えば3ビット分の計算を行う場合、「111」
「110」「101」「100」「011」「010」「001」「000」と
8種類の情報を作り、処理も8回必要になる。ところが、「0」でも「1」でも
ある状態を表せる量子コンピューターなら、この処理は1回。速度は8倍だ。
これが30ビット分の情報処理になれば、組み合わせは一気に増えて
10億通りにもなるが、量子コンピューターなら処理は1回。
処理する情報量が多くなればなるほど計算速度に差が出る。

ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン社は量子コンピューターを
使って道路の渋滞を解消する研究で成果があったと発表した。
中国・北京で418台のタクシーが、一斉に街の中心部から空港に行く時、
渋滞を防ぎながら最短時間で到着するルートをわずか数秒で導き出すことに
成功した。従来のコンピューターでは30分もかかり、それでは役にたたない。
この問題を一挙に解決したのである。

これから先、様々な分野での活用が期待されている。
一般の家庭や企業からこの量子コンピューターにアクセスできるような環境が
できれば世界は大きく変わるだろう。

なお余談だがこの量子コンピューターの開発には日本人による貢献が大きい。
期待が高まる量子コンピューターだが、D-Wave Systems社が
世界で初めて実用化した量子コンピューターの原理は、「量子アニーリング」
と呼ばれるもので、この概念を1998年に初めて提唱したのは、
東京工業大学の西森秀稔教授と、当時大学院生だった門脇正史氏である。
また量子コンピューターの「量子ビット」と呼ばれる頭脳部分を世界で
初めて開発したのは、東京大学の中村泰信教授と東京理科大学の蔡兆申教授。
量子コンピューターの基礎的な理論や技術は日本で生まれたものなのだ。
さすが日本人!


コメント
name.. :記憶

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