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米国「パリ協定」から離脱

【米国「パリ協定」から離脱】

米国が離脱を宣言した「パリ協定」は2015年12月12日、
第21回気候変動枠組条約締約国際会議COP21で採択された
国際合意である。
今回の離脱までたかだか1年半しかなかった。
パリ協定に先立つ地球温暖化の国際合意としては「京都議定書」があった。
これは1997年12月にCOP3が京都で開かれて採択されたもので、
温暖化の原因となる温室効果ガスを1990年段階を基準に、先進国に
限定して、CO2の削減数値目標を掲げて推進する、というものだった。
具体的には、2008年から2012年までの間に、温室効果ガス6種の
合計排出量を1990年に比べて少なくとも5%削減するというもので、
違反に対しては罰則も設けられ、署名国83、締約国192という規模に
拡大した。
しかし、この「先進国」に限定する京都議定書の枠組みは、この当時は
途上国と見られていた中国やインドなど、新興国が対象から外れ中国や
インドなどから排出される大量の温室効果ガスに何ら規制の網を
かけることができなかった。
こうした実情の変化に合わせて、京都議定書から18年を経て「2020年
以降の温暖化対策」の機軸に据えられたのが「パリ協定」である。
しかし新興国や途上国の加盟を促すべく方策をとることも無く、罰則規定も
ないというザル協定であった。
そのことで実効性に限界があるという指摘もなされていた。

ところが今回、米国はこの枠組みそのものから離脱する、と宣言して
全世界から非難を浴びている。

全国地球温暖化防止活動推進センターの資料から、少し古いがパリ協定が
締結される前提となる2012年時点での世界各国のCO2の排出量は
第1位 中国、第2位 米国、第3位 インド、
第4位 ロシア、第5位 日本 である。

京都議定書の枠組みでは、ワースト3の中国とインドが対象になっていない。
さらに2014年時点での世界排出量ワーストのデータでは、中国だけで28%
米国は約16%、インドが約6%、これらを合わせて50%を占めている。
つまり世界の過半が一部の国の排出で汚染されており、中国だけでその半分
(3割)米国は4分の1(15%強)という、全世界への迷惑のかけ方に
なっている。
京都議定書の枠組みは何ら網をかける役割を果たしていない。
そこで、途上国・新興国を含む「パリ協定」の枠組みへのシフトが、
欧州主導のもと進められた。

これに対してホワイトハウスで米大統領が発した言葉は何だったか? 

「中国、インド、ロシアが何の貢献もしないのに、米国は何十億ドル
も支払うという、不公平な協定だ」

上記のワースト順位は、排出の総量でのランキングだが、中国やインドの
人口は米国や日本の比ではない。そこで、人口1人あたりのCO2排出量を
見ると、全く異なる実態が浮かび上がってくる。

中国 6.9トン/人・年
米国 16.4トン/人・年
インド 1.6トン/人・年
ロシア 11.0トン/人・年
日本 9.5トン/人・年
ドイツ 8.7トン/人・年
韓国 11.5トン/人・年
アフリカ各国平均 1.0トン/人・年  となる。

米国がダントツで世界最悪であり、次いで、韓国がかなり傍若無人な
排出割合で背伸びしていることがハッキリ見えてくる。
これでは直ちに世界各国から矢の非難を浴びるのも当然だし、米国内からも
ニューヨーク州、カリフォルニア州、ワシントン州など有力州知事の表明と
して独自に地球温暖化対策に取り組む米国内連合を結成するなどの報道が
発表された。どうもオバマ政権とは違う現大統領の政策はもう行き詰まりを
見せ始めたようである。このことを日本人はよく認識して以後の国際関係を
考えていかなければならないと思う。
また日本も将来に向けてより環境に対する取り組みを行わなければならない。
日本は世界中で唯一、水銀、カドミウム、窒素化合物という3つの悲惨な
公害を起こした国であり、ブラックジョークとして「世界中で水銀が
なくなれば日本を掘ればいくらでも出てくる」とまで言われているのだ。

地球温暖化は熱帯病の増加、作物の収穫量の低下、洪水・大雨の増加、
収穫物の質の低下など多くの問題を引き起こす。とりあえずできるのは
二酸化炭素の削減しかないのである。


コメント
name.. :記憶

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