優へ NO.１２

【優へ　NO.１２】

優よ、どうしてもわからない事がある。
誰も永遠に判らないのだろう。
何故、あんな早朝の４時に、どうして歩いていたのか。
何をするつもりだったのか。
どこに行くつもりだったのか、またはどこに行った帰りだったのか。
誰もわからない。
お前しか判らないし、お前自身も判っていないかも知れない。
今週中には警察に行って事故状況報告書を貰ってくるが、
それを貰っても疑問は解けないと思う。

それ以外にも、おとんは大きくなってからのお前をよく知らない。
せいぜい高校生ぐらいまでだな。もっとも世間一般でもそうだろうけど。
ただ将来の夢とか彼女の事とかは話したかった。
突然の事で、何も話す時間が無かったのが悔やまれる。

たぶんお前は何が起こったかも判っていず、自分が死んだということさえも
判っていないだろう。
いいよ、もし魂魄という物があるとすれば、ずっとおとんやおかんの側に
いたらいい。別に成仏してあの世とやらにさっち行く必要は無い。

写真が旅行の時のものしかなくてごめんな。
まあ楽しい旅行で、美味しい物もたくさん食べたからいいだろ。
小さいときのキャンプとかではカメラ自体を持っていかなかったし、
デジカメももちろん持っていなかったからな。

もうすぐ初盆。帰っておいで。

HP第３番

優へ NO.１２

HP第３番　

優へ　NO.１２